改めて考える、日本語のむずかしさとおもしろさ

英語学習コラム
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英語のことばかり考えていると、ふと、自分の母国語について思いを巡らせたくなるときがあります。
今回はそんな日でした。

たまには、日本語の話をしてみようと思います。


ネイティブでもむずかしい「母語」

日本語って、母国語だから簡単かといえば、そんなこと全然ないと思っています。
むしろ、ネイティブだからこそ「これ、どう言えばいいんだろう?」「こんな言い回しあったっけ?」と悩むこと、ありませんか?

たとえば「てにをは」の使い方。
ふだん無意識で使っているけれど、いざ説明しようとすると難しい…。
それから漢字。大人になっても書き順があやふやだったり、「この字こんな読み方するの!?」と驚かされたり。

さらに、日本語にはことわざ・四字熟語・同音異義語など、
「知っているとカッコいいけど、覚えるのは大変」な要素がたくさんあります。
小学校や中学校の国語の授業って、今思えばものすごく高度なことをしていたのかもしれません。


敬語、謙譲語、尊敬語…日本語の“ややこしさ”

もうひとつ、日本語を語るうえで避けて通れないのが敬語の存在
これは英語学習をしているときにもよく比較に出てきますね。

  • 「伺います」は謙譲語
  • 「いらっしゃいます」は尊敬語
  • 「申し上げます」は二重敬語?

このあたり、正直今でも完璧に使いこなせているかと言われたら…自信はないです。
でも、相手や場面によって微妙に言葉のトーンを調整できるのは、日本語のすごいところだと思っています。

少し硬いけど丁寧に見える表現、
やわらかくて親しみのある言い回し、
直接的に言わずにふんわり伝える工夫。

言葉選びそのものが“空気を読む”ことに直結しているのが、日本語の特徴なのかもしれません。


おもしろさ①:当て字と表記の遊び心

一方で、日本語にはとても自由で遊び心のある面もあります。
たとえば、歌詞や小説、映画のタイトルなどでよく見られる「当て字」。

  • 「心音(こどう)」
  • 「儚夢(はかなゆめ)」
  • 「未來(みらい)」

こういった表現は、音の響きと漢字のイメージを両方活かして、二重の意味や感情を込められるのが魅力です。
たとえば「哀願(あいがん)」という表現に、あえて「愛願」と漢字を当てたら、少し違うニュアンスになりますよね。

さらに、日本語では表記と読みを一致させる必要がない場面が多々あります。
名探偵コナンの映画タイトルにあるように、漢字で書いて英語で読ませるという演出もできてしまう。

この「書いてある日本語と、読ませる英語のズレ」が、視覚と聴覚の両方に印象を残す不思議な面白さになっているんです。


おもしろさ②:主語を省略する余白

日本語のおもしろさを語るうえで、個人的にすごく好きなのが、主語の省略です。

英語を勉強していると、「主語は必ず必要」と教わりますよね。
一方、日本語ではむしろ「わざわざ主語を言うとクドい」とすら感じるときがあります。

  • 「それ、見たよ」
  • 「やっちゃったね」
  • 「今日、寒いね」

誰が?何が?と聞かれると説明が必要なんだけど、会話の流れや文脈の中で「あえて言わない」ことが自然に成り立ってしまう。
この“余白”があるからこそ、聞き手に想像の余地が生まれるし、ときには詩的にもなります。

映画や小説、漫画のセリフでも、この主語の曖昧さが“間”を生んでいて、読者に考えさせる仕掛けになっていたりしますよね。
「誰が言ったんだろう?」「本当は誰に向けての言葉だったのかな?」と想像するのも、ひとつの楽しみです。


おもしろさ③:擬音語・擬態語の多彩さ

日本語の大きな魅力のひとつが、擬音語・擬態語の豊かさです。

  • 「ざあざあ」
  • 「ふわふわ」
  • 「そわそわ」
  • 「のそのそ」

これらは、単に音や動作を表すだけでなく、感情や雰囲気まで伝えてくれる不思議な言葉たち。
英語にも“buzz”や“bang”のような擬音はありますが、ここまで日常的に、感覚や心理を表す言葉として浸透している言語は珍しいのではないでしょうか。

「もやもやする」「ぴたっと止まる」「すっきりした」など、身体感覚と直結しているような表現ができるのは、日本語ならではの面白さだと感じています。


おもしろさ④:あいまいさとその優しさ

もうひとつ、日本語の独特な要素が「曖昧さ」です。

  • 「ちょっと考えさせてください」
  • 「それはどうでしょうね」
  • 「まあ、そうかもしれませんね」

これらは、英語だと “Maybe” や “I don’t think so.” など、もう少し明確な返答になることが多いですが、日本語でははっきり言わないことが「優しさ」になることもあるんですよね。

「言わないことで伝える」「察してもらう」――この日本語特有の文化が、時にはもどかしく、時には心地よいものでもあります。

曖昧だからこそ、聞き手の解釈の余地が生まれ、人間関係が円く保たれる。
それもまた、日本語の“らしさ”なのかもしれません。


他の言語を学ぶと、母語の深さに気づく

英語を学ぶ中で、「日本語ってややこしいな…」と思うこともありました。
でもその一方で、「日本語って、こんなに繊細で奥深い言語だったんだ」と再発見することもたくさんあります。

他の言語と比べるからこそ、母語のすごさや不思議さに目が向く
「当たり前」に思っていた日本語が、急に愛おしく思えることもあるんですよね。


おわりに:難しい。でも、やっぱり好きな言語

こうして改めて振り返ってみると、日本語ってやっぱり不思議で面白い言語です。

  • 覚えることはたくさんあるし、
  • 曖昧な表現も多いし、
  • 丁寧にしゃべるのはすごく気をつかう。

でもそのぶん、繊細な感情や空気感を、すごく柔らかく伝えることができる

音の響き、文字の見た目、話し手の距離感、間のとり方、表現の余白。
日本語には、言葉でありながら“感覚”に近い要素がたくさん詰まっているなと感じます。

母語って、使いこなしているようでいて、
実は一生かけて向き合っていくものなのかもしれませんね。

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